画家のアトリエ ~インタビュー、ニュースから画家の素顔をご紹介~

  • 青春の激しさと、人生の温もり

    Vol.1 まもなく個展開催! 今見つめるもの、思うこと

    Vol.2 協会展開催! そして美術館の第2期、スタート

    Vol.3 画家としての原点へ。生まれ育った下町を歩く

    Vol.4 心がある。友がいる。あの頃のままの少年たち

    Vol.5 海辺の町、山里のアトリエ。鴨川で出会った風景とは
  • グループ展に向けて

    生きるよろこび 牧野文幸

青春の激しさと、人生の温もり

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  • vol.5
助け合うんじゃない。闘い合おう!
「今朝、5時半に起きて、一人でこの会場を見ていたら、なんだか感動しちゃってさ、それで……」

思わず言葉につまる水村さんの姿に、会場がしんと静まりかえります。うっすらと涙を浮かべているようにも見えますが、その後に続いた言葉は……。

「ビールを2本飲みました! そうしたら、余計興奮しちゃってね(笑)。さっきからずっと興奮していますよ」

会場は、大きくあたたかな笑い声に包まれました。みなさんの笑顔を嬉しそうに見つめ、水村さんが言葉を継ぎます。17歳のとき、口と足で描く芸術家協会の日本支部を立ち上げたオールメル氏が家にやってきたこと。支援を受けることになったそのとき、「いつか必ず、世の中に受け入れられる仕事をしよう」と決意したこと。



オープニングの挨拶。「今日はみなさんに会えて、本当にうれしい!」
「だからこうして自分の美術館で協会展を開催することは、自分にとっても恩に報いることだと思う。ここで実現することができて、本当によかった。今日、みなさんにここで会えたことがうれしい。僕は68歳だけど、もう一度、初心を忘れず、死ぬまで青春時代の気持ちのままで、前のめりに、命果てるまで、ずっと絵を描いていきたい」

力のこもった熱い言葉に、画家の仲間たちが深くうなずいています。

「みなそれぞれ体は大変だと思うけど、せめて気持ちだけは負けないで、これからもみんなと助け合って……いや、 “闘い合って”いきましょう。さあ、俺もう腹減っちゃってしょうがない!」

水村さんの言葉を乾杯の合図にして、テーブルに並んだ料理とともに、にぎやかな時間が始まりました。ヨーロッパの古楽器奏者である立川叔男さんの演奏や楽しいトークも、幸せなひとときに花を添えます。会場を行き来し、画家仲間や友人たち、ファンのみなさんと会話を交わす水村さん。

古小路浩典さんは、水村さんと親しく交流する画家の一人です。
「人物を描くことが多くて、あまり風景に興味はなかったんですが、水村さんのすすめで挑戦し始めました。わかってきたことは、同じ風景を見ても『自分なりの風景』があるということ。なぜ描きたいと思ったのか、どんな気持ちでその風景を見ていたのか。水村さんの絵はそれが伝わってくる。私も自分らしい感じ方で描けばいいのだと気づきました」

春の日差しのもと、美術館の外で語り合う。画家の古小路浩典さんとともに。

水村さんの大ファンという清水京子さん(左)、お友達の石田光子さん(右)。「今日はゆっくり楽しみます!」

応援にやってきた、幼なじみの大沢定雄さん(右)。「昔、水村君はいろいろやんちゃしててね…」「おいおい、余計なこと言うなよ!」


穏やかな陽気に誘われて外でおしゃべりを楽しむ人、美術館に併設されたカフェでくつろぐ人も。千曲川にふりそそぐ光がまぶしくきらめき、やがて水村さんの絵のような夕暮れ色にやさしく染まり始めるまで、楽しい時間は続きました。





絵のこと、人生のこと、そしてこれからの夢。大いに語り合い、笑い合った時間。