前回、牧野文幸のことばを最後に載せさせていただきましたが、特に興味があったわけでもなかった絵画、何もしないよりは良いだろうという思いから、初めはワラにもすがる気持ちだった『描くこと』が、ワラどころではなく、彼の命綱になりました。『死んでいないだけ』の人生が、『生きている』と実感できるものへと一気に引き上げてくれた絵画と書、そして講演録をまとめた作品集『生きるよろこび』が2019年に完成いたしました。ここでは、その一部を、牧野文幸が2011年に初めて地元倉敷で開催した個展の際に、彼が思いを述べた言葉とともにご紹介させていただきます。