絵画展レポート

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絵画展 口と足で描いた絵 HEARTありがとう

■開催期間:2024年6月23日(日)~29日(土)■入場:入場無料 ■会場:東京交通会館 B1ゴールドサロン 〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-10-1 JR有楽町駅前/東京メトロ有楽町線 有楽町駅直結 ■実施内容:口と足で描いた作品展示 54点(南 栄一 28点、特別展示1点含む) 口で描く画家たちによる絵画制作の実演 協会の紹介(ビデオ上映)  絵画を使用したオリジナルグッズの展示販売 口で描く体験コーナー

実演した画家たち 古小路 浩典(東京都)田中 潤也(愛媛県)山口 かほる(東京都)飯原 孝(新潟県)森田 真千子(大阪府)

口と足で描く芸術家協会(以下MFPA)は、2024年6月23日(日)から29日(土) まで、東京都有楽町にある東京交通会館B1ゴールドサロンにて、絵画展【口と足で描いた絵~HEARTありがとう~】を開催し、7日間で延べ454人の方に来場いただきました。 今回は日本人画家による絵画54点(南 栄一追悼展、特別展示含む)を展示しました。 昨年永眠したMFPAの主要メンバー、南 栄一の追悼展も同時開催。南 栄一は精緻な風景画や静物画、メルヘン画など数々の心温まる作品を残しました。追悼展ではその代表作28点をご覧いただきました。 会場内では、画家たちによる実演を行いました。コロナ禍により開催ができなかったこともあり、この会場での実演は2019年以来、5年ぶりでした。また、口で絵を描く体験コーナーを設け、子供たちに挑戦してもらいました。画家たちもご来場者様との交流を楽しんでいました。 また、口と足で描いた絵をもとにしたグッズを販売しました。 特別企画として、南 栄一の作品を収録した2025年のカレンダーを販売し、売上を能登半島地震の復興支援に寄付。66部の売り上げがありましたので、合計33,000円を日本赤十字社を通じて寄付いたしました。

  • 口で描く体験 子供たちが口で描く体験を楽しんでくれて、とても良かったです。何か心に残ると嬉しいなぁと思います。
  • 画家同士の交流 若い田中 潤也と、実演していた古小路 浩典が初めての対面。先輩である古小路から、筆の工夫やどう口でくわえるかなど、田中へアドバイスしていました。
  • 初めての実演 協会主催の絵画展で初めて実演をする田中 潤也、気球を描いています。普段は油絵を使いますが、実演では早く乾くアクリル絵の具で描いています。アクリルの方が描きづらいそうです。
  • 田中よりコメント 初めての協会での実演で戸惑いましたが、来場者から「元気が出た」や「色合いが綺麗」といった声をもらい、励みになりました。次回は、作品の出来上がりの形を見せられるようにしたいです。初対面の古小路さんは非常に優しい方で、道具や描き方について詳しく教えていただきました。筆の使い方も勉強して、自分に合った描き方を見つけていきたいです。他の画家の作品を見て、自分も心温まる絵を描きたいと思いました。そんな絵を描ける画家になるために、日々デッサンなどの練習を続ける必要があると感じました。 「heals my heart」田中 潤也
  • 可愛いファンとの再会 飯原 孝のファンの姉妹が、遊びに来て、またそれぞれがお花をプレゼントしてくれました。2019年の絵画展以来の再会で、大きくなった姉妹に飯原は感激して、言葉を詰まらせていました。(前回は2019年5月、2018年5月の絵画展レポートに掲載しています)
  • 飯原よりコメント 姉妹との出会いは6年前です。展覧会の実演に来場してくれて、お手紙と、お小遣いで買った一輪の花をプレゼントしてくれました。それから展覧会がある事に毎回来場してくれ、私は絵を描き続けて本当に良かったと思いました。コロナの影響で5年ぶりの再会で、2人とも私の事を覚えていてくれて、背も成長して月日の経つのは早いなと思いました。そして今も私の絵を好きでいてくれて、本当に絵を描き続けてきて良かったと思う瞬間でした。姉妹がバレエを習っている写真を見せて頂き、次の絵の題材にしようと思いました。こうして私が絵を描けるのも、応援してくださるみなさんの力だと感謝です。 「異国の犬(サクラ)」飯原 孝
  • 車いすの仲間たちも来てくれました 久しぶりの開催、画家の実演とあって、多くの仲間たちが来場しました。画家の梅宮 俊明は、ケガ明けもあって実演はできませんでしたが、会場に足を運んでくれました。

特別展示 後藤 心明(茨城県) 協会への参加を申請中の後藤さんの作品を特別展示し、来場されました。まだ色鉛筆だけで描いていますが、多くの絵を見て刺激を受けたようで、もっと勉強したいと意気込んでいました。実演していた森田 真千子も、多くのアドバイスをしていました。

「恐竜」 後藤 心明

後藤さんより 現在、協会への加入に向けて申請中の後藤 心明です。今回、お誘いいただいてこの展覧会に絵を出展させていただきました。拙作ながら、このような貴重な経験をさせて頂き嬉しい限りです。今後は他の会員の皆様のようないい絵が描けるよう、より頑張っていきたいと思います。改めてこの度は展覧会に参加させていただきありがとうございました。

南 栄一 追悼展 「希望の虹~悲しいことの後にはきっと喜びが~」南 栄一(みなみ えいいち)は長野県生まれで、高校3年生の時に柔道の試合中の事故で 頸椎を損傷し、その後口で描く画家として50年にわたりMFPAとともに活動してきました。彼の作品は多くの人々に愛され、グッズとしても多くの方の手元に届けられています。2023年に68歳で永眠しましたが、その作品は人々に希望と癒しを与え続けています。

友と歩いた上高地 横浜 Night View いちか 希望の虹

モデルと絵のツーショット 南 栄一が晩年に描いた作品「いちか」と、そのモデルの少女。南を長年世話していたヘルパーさんのお孫さんです。

南 栄一について 1955年8月長野県生まれ。高校3年生の時に柔道の試合中に事故で頚椎を損傷し、肩から下の体の運動機能や感覚がマヒしています。 3年間の入院生活の中で、「このままじゃダメだ。何か自分にできることはないか」という思いが募り、好きな絵を描こうと決意。初めて口で描いた絵は忘れられないものでした。実家から見える紅葉に包まれた美ヶ原高原。思うように筆が運べず、絵具の調合がうまくできないなどの苦労を重ねながらも完成しました。下手なりでも描けたと、自信を掴み、口が滑らないように筆に布を巻いたり、スケッチブックを立て掛ける台を電動で動かせるようにしたり、試行錯誤を繰り返してきました。やがて絵と、絵画を通して出会った新しい世界が、人生の目的と楽しみになりました。絵を描くことで独立も果たし、ヘルパーさんの助けのもとに、重度障がい者の身でありながらも一人暮らしをしていました。 1999年に「私の平和の絵」という主題に基づいて描いた「希望の虹」の絵が、翌年リヒテンシュタイン公国の切手として採用されました。 絵の中に、生きる希望や喜びを表現したいと思い、うわべだけの美しさにとらわれず、自分の求めるものにしっかりと目を向けて描いていました。

スタッフより

一昨年の絵画展では、開催期間が短く、作品を展示するだけにとどまっていました。しかし、今回は5年ぶりに画家たちも来場し、会場で実際に絵を描く実演ができ、本当に素晴らしいイベントとなりました。メディアによる掲載や取材もあり、前回よりも多くの来場者にお越しいただいたと思います。

今回の絵画展は、昨年惜しくも亡くなられた南 栄一の追悼展も兼ねさせていただきました。栄一さんとは私自身も親しくさせていただき、共に食事をすることも多々ありました。栄一さんを偲ぶこの絵画展では、28枚もの彼の作品を一堂に展示する機会を持てたことを、大変嬉しく思います。素晴らしい作品ばかりで、どれも見応えがあり、栄一さんの才能を改めて感じました。

さらに、南 栄一の作品を使用した限定カレンダーを販売し、その売り上げを能登半島地震の復興支援に寄付させていただきました。栄一さんも、生前に皆様から受けたご支援へのお返しとして、この寄付を喜んでいるのではないかと思っています。

会場では、画家たちと来場者の交流が見られ、普段はなかなか会う機会のない画家同士の再会もありました。特に、飯原 孝と彼のファンである姉妹の再会は、飯原が感動のあまり涙ぐむ様子が見られ、とても暖かい瞬間でした。また、大先輩画家の古小路 浩典と若手の田中 潤也の交流は、田中にとって大きな刺激となったようです。協会への参加を申請中の後藤 心明さんも来場され、もっと絵を描こうという意欲を持っていただけたことも嬉しい限りです。

絵画展は、多くの方々に実際に作品を見ていただける貴重な機会であると同時に、画家たちにとっても大きなモチベーションとなることを改めて実感しました。これからも定期的に開催したいと思いますので、皆様のご支援とご協力を引き続きよろしくお願い申し上げます。