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小田 俊雄    福岡県    口で描く

1952年2月福岡県生まれ。

1歳の誕生日直後、肺炎による高熱から脳性小児マヒに罹り、手足の機能と明瞭な言語機能を失った。

養護学校で小、中、高等課程へと進む。学力優秀で、特に数学と理科が得意であったため、理工系大学への進学を希望するが、手が不自由では実験ができないと断られる。

養護学校の美術教師に勧められ方向転換を図り、口に筆をくわえ、絵を描き始めた。東京、名古屋、福岡で著名な職業画家につき描画の基本を習得した。

晩年はボランティアで障がい者に絵を教え、充実した日々を過ごしていた。2014年6月没。


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自立を目指して

私は現在福岡県の久留米市に住んでいます。久留米市は坂本繁二郎先生や青木繁先生などの大画家を生んだ、文化豊かな町です。この町で口に絵筆をくわえて絵を描いています。

皆さんが買ってくださった中から、私たちは奨学金をいただき、それでキャンバスや絵の具を買わせていただいています。

描画は身体のハンディを背負った私にとっては、とても辛い大変な作業ですが、絵を描くことの喜びは普通の人と全く変わりません。がんばっています。

 

私は1997年から週に3回、併設している「自立センター久留米」と「共同作業所フロンティア」へ相談要員として行っております。また、1999年9月からは、そこで絵画教室を行っています。

センター長から絵画教室をしてみないかと話を持ちかけられたとき、私はまだ教わっている身ですし、生徒さんの絵に手を加えられないからと、初めはお断りしました。しかし、「将来は絵画教室を開いて月謝の代わりに介護をしてもらえば良いのでは…。その練習になるよ。」というお心を頂き、自立も夢ではないのではと思いました。

また、「絵に手を加えてあげられなくても、色は本人の感性だし、その色をどこに載せるかを口で説明すればよいのでは。」と言われ、そのような教え方でよければと引き受け、ボランティアとして教えています。それに、人に教えることは自分の勉強になるとも思いました。

 

上記は、小田俊雄が2007年に書いた文章です。

 

<略歴追記>

23歳でのNHK賞受賞を皮切りに、地元福岡での団体展など多くの公募展に入選、受賞。

フランスのル・サロン展では2度の入選後、1983年にはテレビ7太陽賞を受賞した。

名古屋と福岡で2度、個展を開催している。

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