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井上 忠    岡山県   口で描いた

1944年6月岡山県生まれ。

高校2年の時の運動会で、騎馬戦競技中に事故で首の骨を折り、以来首から下の神経がマヒした。

受傷2年後に口で絵を描き始め、看護士さんや友人たちに励まされ、独学で技術を磨いていった。

入退院を繰り返しながら12年間家で過ごしたが、父母の高齢にともない、重度障がい者施設である旭川荘竜ノ口寮に入寮。絵具を出したり、筆を洗ったりすることが出来ないので、寮内の車椅子の友人に手伝ってもらって、二人三脚で作品を制作していた。

1998年、油絵「働く家族」が、岡山市の中央保健所1階ロビーに、陶板レリーフとして飾られた。

2005年6月没。


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私にできる唯一のこと

私は高校2年生の時、秋の運動会で首の骨を折るけがをして、手足の自由を失いました。

ずいぶん昔のことゆえ、リハビリなどもなく、身の回りのことは何もできません。

しかし、たった一つ、神は私に絵を描くことを残して下さいました。私は、このことをもって生きる証にしたいと思っております。描くスピードは健常者に比べて何倍も遅いですが、描いている時間はだれにも負けません。

遊ぶことも、人との付き合いも、身の回りのことも何もしなくていいので、ただひたすら絵を描くことに没頭しております。だいぶ歳もとってきたし、何も残すものがありませんが、1枚でも、自分の納得いくいい絵を残したいと思います。

 

上記は、絵に対する自身の思いを、2003年に井上が書いた文章です。

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